沖縄慶良間列島 座間味村のホテル建設を巡る権力闘争『FRIDAY』

沖縄県宜野湾市内のラブホテルから、一組の男女が姿をあらわし、今まさに車に乗り込もうとしている。右側の男性は、同県座間味村村長の與儀九英氏(68)、左は村役場の女性職員(42・3月末に退職)。

長寿で有名な沖縄とはいえ、白昼堂々と26歳も年下の女性を伴ってラブホテルとは、何ともアッパレな元気溌剌ぶりであるが、人口約1000人の座間味村は、今この「不倫逢い引き写真」を巡って大揺れに揺れているのだ。

座間味村は、沖縄本島の南西に位置する慶良間列島の一部で、太平洋戦争終結時の1945年3月に、米軍が初上陸した島。現在は世界一美しいといわれる珊瑚礁を抱えるスキューバダイビングのメッカだ。毎年、多くの観光客で賑わうこの村で、何が起こったのか。まずは、この写真について、地元でホテル建設を計画している「うるま計画」の屋宜宣人社長に説明してもらおう。

「写真は、3月27日の昼2時40分頃に撮影されたものです。この日は平日で、村長は『出張』と称して役場から宿泊費や交通費を受け取ったうえで、沖縄本島へ出かけている。つまり村長は、公務中に公費を濫用してラブホテルにいっていたわけです」

村役場の内部資料によると、確かに村長は、この日、公費で沖縄本島に出張している。

「3月7日と14日にも、村長が本島のラブホテルにこの女性と入った現場が目撃されています。しかもこの時も『出張』扱いだったんです」(屋宜氏)

女性同伴でサイパンへ出かけて辞任した市長、女風呂をのぞいて問題になった市長も記憶に新しいが、こちらでは〝ラブホテル村長〟かと、島中が大騒ぎになっているのだ。真相を質すべく、自宅前で與儀村長を直撃した。

「相手の女性のこともありますし、プライベートな件なので・・・。でも、絶対に公務中ではありません」

村長は、女性との関係を半ば認めながら、こう続けた。

「しかし、わざわざ尾行して写真をとるなんて。だいたい、誰がこんなことをしたのかはわかってます。座間味でホテル建設の申請をしている人達が、慎重な立場の私に攻撃を仕掛けているのでしょう。私は満身創痍になっても、村民のために闘い続けます」

村長の言葉どおり、ホテル建設を巡っては、村民を二分するほどの対立構造があるのは事実だ。ところが、「闘う」はずだった村長は、一部の村会議員がラブホテル疑惑追及に動きだすや、5月6日にアッサリと辞任してしまった。再び與儀氏に聞くと、

「不整脈で体調が悪く、激務に堪えられなくなったので辞任したのです」

と語り、あげくは写真の女性とは「何の関係もない」と、今度は一転、苦しい弁明をはじめる。一体、與儀氏の周辺で何があったのか。ある村議が、ウンザリした口ぶりでこういう。

「引責辞任後に事実を話さないのは、どこの政治家も同じですよ。真相は、村長辞任を条件に、ホテル建設推進派が今後は村長を追及しないことで落着したということでしょう。一番迷惑しているのは、混乱だけを残された村民ですよ」

座間味村は、海を泳いで恋人に会いにいった犬の映画、『マリリンに逢いたい』の舞台でもある。與儀村長も、税金など使わずラブホテルに通っていれば、こんな「落着」もなかったと思うのだが・・・。


初出:沖縄慶良間列島発 村長が公務中にラブホテルで珊瑚の島は大騒ぎ『FRIDAY』1997年5月27日号