小渕首相の貸し渋り対策20兆円が国を滅ぼす『FRIDAY』

小渕恵三首相(61)が、「中小企業支援」を謳い文句に打ち出した、銀行の「貸し渋り対策」(中小企業安定化特別制度)が、足元から揺らいでいる。昨年10月のスタート以来、この制度を利用して融資をうけた中小企業が続々と倒産しているのだ。 民間信用調査機関・帝国データバンクの熊谷勝行情報部長が言う。

「倒産の続出は、この政策がいかにデタラメで、税金をズサンに使っているかを証明しています。政策本来の目的を考えれば、これらの企業は一社たりとも倒産してはいけないはず。『貸し渋り対策』といいながら、実際は、その元凶である銀行に税金で不良債権の埋め合わせをさせているに過ぎません」

「中小企業安定化特別制度」とは、都道府県の信用保証協会に20兆円の政府保証の特別枠を新設し、中小企業への融資を支援する制度。つまり融資先の企業が倒産すれば、国民の税金から補填される仕組みだ。ところが帝国データの調査によると、特別保証枠を利用しながら倒産した企業は、11月3社、12月3社で、1月は実に33社。2月は未集計だが、50社に手が届きそうだというのだ。

「数字を見ても分かる通り、倒産件数は月をおって増える一方。3月中には累計で100社を超えることは確実でしょう。また3月末決算の会社も多いので、月間の倒産件数は増えることはあっても減ることは無いと思います」(熊谷情報部長)

特別保証枠の限度額は、最高2億5000万円。無担保でも1000万円程度の保証がまかり通っている。仮に100社が倒産したら、最低でも10億円、場合よっては200億円以上の血税が、わずか半年足らずの間に浪費された計算になる。この巨額の税金が、金融機関の不良債権処理に回されたのだ。さらに、審査が甘いことにツケ込む悪徳企業も多い。

「ある建設会社は、架空販売で表面上80億円の利益を装い、まんまと限度額の2億5000万円の保証を受けた。その全額を銀行が回収した途端に130億円の負債を抱えて倒産したのです。結局、この詐欺的な行為で得をしたのは金融機関だけです」(熊谷部長)

これ以外にも、政府保証の融資金を退職金にあてて自己破産した会社や、実際には何の事業もしていないペーパーカンパニーへの融資など、デタラメな保証は枚挙に暇がないという。 全国信用保証協会連合会の江口浩一郎業務部長はこう言う。

「銀行を通じて保証の申し込みが来る仕組みになっているため、企業の意思に関係なく勝手に申し込みをしていたり、保証をしても実際は起業に金が一円も行かずに銀行が債権の穴埋めに流用しているケースがありました。そこで、2月からは事業主にも申請書類を出してもらうことにしました。ただ、粉飾決算までして申請する会社を見抜くのは、なかなか難しいのです」

しかし、1月末段階ですでに約12兆3000億円もの保証が実行されている。今さら財布の紐を締め直しても、もはや後の祭りだ。さらに、保証制度を利用した悪質な業者も続出しているのだ。

「2月以降、急に審査が厳しくなったため、『融資額の10%で保証協会の人間を紹介する』とか『政治家へ保証の口利きをする』といったプローカーから頻繁に電話が来るようになった」(都内の不動産会社社長)

血税20兆円は、銀行と一部の悪質な悪質な業者を潤すだけで、景気対策になっていない。「商品券」「金融機関への資本注入」と、野放図なバラ撒き行政を繰り返すだけの小渕首相の〝サル知恵〟では、国が滅びるのを待つばかりだ。


初出:小渕首相の貸し渋り対策20兆円が国を滅ぼす『FRIDAY』1999年3月26日