「薬膳」FC商法で集団訴訟された山野グループ〝二代目〟『FRIDAY』

朝10時、東京・西新宿の高層ビル玄関に横付けされたベンツのリムジンから、颯爽と降り立ったロマンスグレーの人物(写真上)。「美容界の草分け」といわれ、短大、専門学校、エステテックサロンなどの“山野帝国”を一代で築いた、故・山野愛子女史の三男として、現在、化粧品や健康食品会社など関連数社のトップに君臨する山野彰英氏(57)である。

「こっちが1000万円単位の損失を抱えて汲々としてるのに、向こうは悠々とベンツで出社ですか・・・。私は、この山野社長に会わせてくれるよう何度も頼みましたが、結局、話すら出来なかった。『ヤマノグループ』の名前に、完全に騙されたんですよ」

こう言って怒りを隠さないのは、ヤマノグループの一社で、山野氏が社長である漢方薬局「東京薬膳」のフランチャイズ(FC)に加盟した挙げ句、「大損害を被った」という飯塚英二氏(写真左)。飯塚氏ら加盟5店が、東京薬膳と山野社長に損害賠償請求訴訟を起こしたのは昨年4月。以後この訴訟は、半年余りの間に13店による「集団訴訟」に発展しているのだ。

東京薬膳のFC契約書等によれば、250万円を支払って加盟店になると、本部から漢方薬や薬膳食材などの商品を仕入れることができ、薬局の開店準備から経営管理まで全般的な指導を受けられることになっている。

「ところが、250万円も払って、まず本部がしたのは、『薬局の改装は専門業者じゃないと保健所の認可が下りない』という理由で、相場の3倍の工賃をとる業者を紹介することでした。ところが、棚はガタつくし仕切りガラスも入らないような欠陥工事です。しかも320万円の改装代金の支払い先は東京薬膳の銀行口座でした。

経営を指導するスーパーバイザーは開店前日まで顔も出さないし、来たら来たで『なぜこんな場所に店を借りたんだ』などと今さらどうにもならないことを言いだす。『売れ筋』と言われて本部から仕入れた550万円の商品はまるで売れず、売上げは毎月十数万円程度。説明会などで、『簡単に売れるノウハウがある』と言っていたのはまったくのデタラメだったわけです」(飯塚氏)

他の加盟店に聞いてみても、

「『来年からロイヤリティが5%になるが、今なら4%』と言われて契約したが、後で加盟した他店のロイヤリティが自分の店より低かった」

「素人でも漢方薬の処方が出来るというフレコミの20万円のパソコンソフトに欠陥があり、健康な人のデータを打ち込んでいるのに『白血病』という結果が出た」

「新聞広告に加盟店260店と書いてあるが、実際にオープンしている店は数十店舗に過ぎない」

など、出るわ出るわ。これでは「悪質」FC商法といわれてれても仕方あるまい。

東京薬膳の大友義隆常務は、

「我々が反省すべき点はあったと思います。しかし、儲からないのが全て本部の責任でしょうか。店舗経営のリスクについては契約前に十分説明してあります。訴訟を起こしたのが13店というのは多いと思いますが、そもそも、皆に訴えないかと呼びかけた方がいるんですよ」

という。しかし、加盟店の赤字黒字の比率をたずねると「分からない」、ロイヤリティの仕組みはどうなっているのか聞いても「答える必要がない」との答え。こんな状態で、「リスクを十分に説明し、経営指導をしている」とは、どう考えても信じられない。

エステティックサロンでもフランチャイズ展開をしている名門・ヤマノグループ。今回の訴訟で問われているのは、総合美容産業を掲げる“山野帝国”そのものの経営体質なのだ。

初出:「薬膳」FC商法で集団訴訟された山野グループ〝二代目〟『FRIDAY』1997年2月21日号


この記事が出た後、フライデー編集部には他の加盟店オーナーからの問い合わせが相次いだ。その内容は「私も集団訴訟に加わりたいので連絡先を教えてくれ」というものだった。加盟店同士の横の繋がりがないため、「赤字店舗は少ない」と思い込んでいたようだ。そして山野彰英社長に呼び出されて、私と担当編集者の二人で西新宿の本社まで会いに行った。記事について文句を言われるのかと思ったら、なぜか広告代理店の人間が同席して、「もう記事は書かないで下さい。困るんです」などと繰り返す妙な会見だった。馬鹿馬鹿しいので、席を蹴って帰った。