「かんぽの宿問題」オリックスの目的は何だったのか

かんぽの宿のオリックス一括売却は「問題」か?」の記事を書いた後、多くのメールをもらった。「構造がよく分かった」という意見が大部分だったが、「疑問」も投げかけられた。その中で最も多かったのが、「なぜオリックスは、かんぽの宿を高値で買おうとしたのか」というものだ。率直にいうと答えは分からない。しかし、合理的な推測をするなら「義理を売った」ということだろう。つまり、日本郵政との取引実績を作るのが目的である。かつて富士通などが、役所の管理システムの構築を「1円落札」したのと同じである。

日本郵政というと、傘下にゆうちょ銀行、かんぽ保険会社、郵便事業会社などを抱える「巨大独占企業」と思われがちだが、実態は異なる。郵便事業(手紙や小包などの集荷・配達)は、民間のヤマト運輸、佐川急便などにシェアを奪われ続けている。収益の柱である金融二社も、10年前に総額350兆円になった貯金残高、簡保資産残高は、年々減少して民間の金融機関に流失している。民間と比較して、日本郵政がサービス面で遅れをとっているのは事実であり、放置すればジリ貧になる。

中でも、ゆうちょ銀行の最大の弱点は「融資業務ができない」ことである。郵便貯金は、大部分が国債の購入などに充てられている。与野党の議員からも「条件付で融資業務を認めるべき」という声が出ている。しかし、これまで融資や審査、債権回収の経験がないゆうちょ銀行の社員が、180兆円もの貯金残高を背景に金貸しの真似事をやっても、いずれ新銀行東京と同じ末路になる。では、どうすれば良いか。「兆円規模の投融資、審査、債権回収のノウハウを持ちながら、原資や店舗網が不十分な会社」と提携するのはどうだろう。筆者の知る限り、日本にそんな会社が一社あるような気がする。

仮に「O社」としておこう。

ここからは、「筆者が『O社』の経営者ならこうする」という仮定で書く。飽くまでもフィクションだ。

「かんぽの宿を安く買って、従業員をリストラして不動産を転売して濡れ手で粟」などという、投資ファンドがやりそうなケチな銭儲けはしない。物件を売ったら、そこで事業が終わってしまう。狙うのなら、目減りしているとはいえ、いまだに300兆円を超える個人金融資産である。例えば、ゆうちょ銀行とO社が包括的な業務提携をした後、法改正をして経営統合すればシナジーは大きい。不動産不況の中、日本郵政は「かんぽの宿」の有力な売却先が見つからずに困っている。そこで、私はこう言う。「我々が引き受けましょう。本来、従業員と一緒に不採算事業を買い取るなら価格はゼロ円です。しかし、日本郵政も総務省の手前、ゼロ円では困るでしょう。思い切って三桁(100億円)を超える数字を出します」そして、最後に一言付け加えるのも忘れない。

「これは『貸し』ですよ・・・」

今、100億円単位の損をしても、数年後の「ゆうちょO社銀行」に道筋をつけられるなら、痛くも痒くもない。もし、日本郵政の幹部が有能なら、O社の思惑にピンとくるだろう。そこで郵政側も「今後とも、貴社のことを真っ先に考えます」などと適当なオベンチャラを言っておけばいい。間違っても「融資業務が解禁された際は・・」などの余計な言質を与えない。こうして腹芸を駆使しながら「義理」という目に見えないものの取引が終了する。ところが、高く買ったはずが「安すぎる」と批判されて、白紙撤回させられるとは、この時点では予想すら出来なかった・・・。というお話である。テレビカメラの前で騒ぎ立てる政治家やマスコミ、エコノミストよりも、一切の反論をせず、正当性を訴えることもせず、虎視眈々と「次」の商売を狙っている人間こそが恐ろしいのだ。鳩山が言うほど、ビジネスの世界は「ドライ」ではない。情や怨で物事が決まることが少なくないと知るべきだろう。

※これは架空のストーリーなので抗議等は受け付けない。(笑)

その他にメールで多かったのが、「1万円で売ったものが6000万円で転売されたことをどう考えるか」という質問。これは民営化前の郵政公社時代にバルクで売ったもので、郵政民営化関連法の規制を受けない。バルクである以上、そうした目玉物件もあれば屑物件もある。一気に処分することに意味があり、切り分けて「安すぎる」という批判はナンセンスである。仮にバラバラに売れば、時間やコストをロスするばかりか、どうしても売れない物件が出てきてしまう。

次に「コメント欄を作って欲しい」「トラックバックが反映されない」というメールも多かった。コメントは管理が面倒なので設けない。またbloggerにはデフォルトでトラックバック機能が無いので、haloscanというサービスを使っているが、なぜか出たり消えたりする。少なくとも故意に消していない。(どうやって消すのかも分からない)「無料で使える」「広告が出ない」「デザインが子供っぽくない」という理由でbloggerを選んだが、ちょっと使い勝手が悪いので、fc2かhatenaにしておけば良かったと思っている。