それでも西川善文は辞任すべきか

結論を最初に言うと〝適任な次期社長〟がいれば、西川は辞任すべきである。

筆者はかんぽの宿は適正、適法にオリックスに売却される予定だったと考えている。これに意味不明な文句をつけて白紙に戻した鳩山邦夫とメディアの罪は重い。「不透明」という批判の大半は、事業譲渡と不動産売買の違いを学ぼうとしない、単なる「不勉強」に過ぎない。それでも辞任すべきと考えるのは、かんぽの宿問題以前に、そもそも西川は日本郵政のトップに立つ能力や器がない人間だからだ。

これまで西川について何度も記事を書いてきた。

西川善文と金融庁との最終決戦『週刊文春』2004年12月30日号
外資系投資銀行の虚像と実像(後編)『週刊新潮』2005年7月14日号
最強外資 ゴールドマン・サックスの本性『週刊文春』2006年9月21日号

こうした取材を通じた西川に対する評価は、非礼を承知で書けば「小者」である。

「薬膳」FC商法で集団訴訟された山野グループ〝二代目〟『FRIDAY』

朝10時、東京・西新宿の高層ビル玄関に横付けされたベンツのリムジンから、颯爽と降り立ったロマンスグレーの人物(写真上)。「美容界の草分け」といわれ、短大、専門学校、エステテックサロンなどの“山野帝国”を一代で築いた、故・山野愛子女史の三男として、現在、化粧品や健康食品会社など関連数社のトップに君臨する山野彰英氏(57)である。

「こっちが1000万円単位の損失を抱えて汲々としてるのに、向こうは悠々とベンツで出社ですか・・・。私は、この山野社長に会わせてくれるよう何度も頼みましたが、結局、話すら出来なかった。『ヤマノグループ』の名前に、完全に騙されたんですよ」

こう言って怒りを隠さないのは、ヤマノグループの一社で、山野氏が社長である漢方薬局「東京薬膳」のフランチャイズ(FC)に加盟した挙げ句、「大損害を被った」という飯塚英二氏(写真左)。飯塚氏ら加盟5店が、東京薬膳と山野社長に損害賠償請求訴訟を起こしたのは昨年4月。以後この訴訟は、半年余りの間に13店による「集団訴訟」に発展しているのだ。

「かんぽの宿問題」オリックスの目的は何だったのか

かんぽの宿のオリックス一括売却は「問題」か?」の記事を書いた後、多くのメールをもらった。「構造がよく分かった」という意見が大部分だったが、「疑問」も投げかけられた。その中で最も多かったのが、「なぜオリックスは、かんぽの宿を高値で買おうとしたのか」というものだ。率直にいうと答えは分からない。しかし、合理的な推測をするなら「義理を売った」ということだろう。つまり、日本郵政との取引実績を作るのが目的である。かつて富士通などが、役所の管理システムの構築を「1円落札」したのと同じである。

日本郵政というと、傘下にゆうちょ銀行、かんぽ保険会社、郵便事業会社などを抱える「巨大独占企業」と思われがちだが、実態は異なる。郵便事業(手紙や小包などの集荷・配達)は、民間のヤマト運輸、佐川急便などにシェアを奪われ続けている。収益の柱である金融二社も、10年前に総額350兆円になった貯金残高、簡保資産残高は、年々減少して民間の金融機関に流失している。民間と比較して、日本郵政がサービス面で遅れをとっているのは事実であり、放置すればジリ貧になる。

「かんぽの宿問題」は〝子供の喧嘩〟に過ぎなかった

半年以上も燻っていた「かんぽの宿問題」は、鳩山邦夫の総務相更迭、西川善文の減給処分と社長留任で決着した。この決定が政治的に正しいかは分からない。筆者は、かんぽの宿のオリックスへの一括売却についての見解を二月中旬に書いたが(かんぽの宿のオリックス一括売却は「問題」か?)、その後、何らの新事実も提示されず、「疑惑ごっこ」のまま終焉した。過去、地方の温泉リゾートを投資ファンドなどが買収した。買収価格などは公表されていないが、その中には「1円」「100円」などという金額もあった。温泉旅館を壊してオフィスビルを建てるわけにいかない。飽くまでもリゾート施設として追加投資をして、雇用も維持し、再建するとなれば、赤字事業に値段がつかないのは、再生ビジネスでは当り前のことだ。捨て値で手放した銀行は、不良債権を処理してオフバランス化するメリットがある。「安すぎる」という批判は、あまりに的外れである。