新生銀行で進む外国人切りと経営統合計画 『週刊朝日』 Part2

八城による「外国人斬り」は徹底しているようだ。新生行内では、英語が準公用語で会議で英語が使われていたが、これも廃止しようとしている

「以前は会議でも同時通訳がついていましたが、八城さんが『日本語でやろう』『日本の銀行なんだから日本語じゃないと駄目だ』と言い出したのです。実はこれまで、外部の顧客に対応する時も英語で貫き通して、お客さんにイヤホンを付けさせていた。あまりにも失礼だし、通訳の人件費もかかるので廃止しようというです」(新生幹部)

言うまでもないが、社長の八城は、エッソ社長、シティバンク日本代表と外資系企業のトップを歴任しており、英語は自由自在に操ることができる。何があったのだろうか。

「もともと八城さんは、外人とか日本人とかの区別はしない方ですが、シティ時代から『無駄金ばかり使って儲けない外国人』が大嫌いで、公然と批判していました。マーケットが悪化した以上、リストラするのは当然という考えでしょう」(シティ時代の部下)

こうして、権勢を誇っていた外人部隊が疎外されるようになると、長銀出身の日本人行員が八城に擦り寄り始めたという。

「役員会でも、座る席が真っ二つに分かれて、片方が外国人ばかり、片方が日本人ばかりがズラリと並んでいる。下手なことは言えないので、取締役会は八城社長の独演会になってます」(新生銀行首脳)

もっとも、これで業績が回復すればいいが、株価は正直に反応して、冒頭の「誕生パーティ」の三営業日後には、ついに100円を割って〝危機水域〟を突破してしまった。

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こうした中、新生銀行内では、極秘プロジェクトが水面下で進行しているという。「他行との経営統合」である。

関係者から得た証言を総合すると、経営統合の有力候補は「他の公的資金注入行」である。さらに「政府系金融機関も含めた3行統合」という選択肢も検討されているようだ。

新生銀行に事実関係を質すと、「回答は差し控えさせていただきます」(広報部)という。一方の候補銀行も「業務多忙につき、お答えすることが出来ません」とニベもない。

両行の幹部者は、「シミュレーションはしている」「資産内容精査の準備段階」と言う。一方、「統合してもシナジーが薄い。弱者連合にしかならないのではないか」ともいうのだが・・・。

そして、80歳になった八城がワンポイントリリーフで降板した後の有力な社長候補として名前が挙がっている人物が、マネックス証券の松本大社長である。

「八城さんは、『日本の銀行だから、日本人でないと駄目だ』と公言している。しかし、大株主のクリス・フラワーズに認められて、金融庁や産業界、マスメディアとも良好な関係を築いている日本人といえば、非常勤取締役となった松本大以外にいない」(新生銀行幹部)

松本社長は本誌の取材に対して、「コメントのしようがありません」と答えるだけだった・・。

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前社長のティエリー・ポルテは、「社長に就任したことが間違い」と言われ、唯一の功績は、自分の首が飛ぶのを恐れて、慌てて本店不動産をモルガン・スタンレーに売却して、不動産市況が完全崩壊する前にキャッシュを得たことだけと揶揄されている。

しかし、未曾有の経済危機の中、八城に社長が代わっただけで、簡単に新生銀行の業績が回復するわけがない。かつて、日本のバブル崩壊で消える運命だった長銀が、巨額の税金を投じて蘇ったのは「幻想」だったのではないか。むしろ「経営統合」という形で〝新生〟の名前が消滅することこそ、この銀行の辿るべき道なのかも知れない・・・・。


初出:『新生銀行で進む外国人切り』週刊朝日 2009年3月20日号

新生銀行で進む外国人切りと経営統合計画 『週刊朝日』 Part1




本稿で取り上げた新生銀行の経営統合候補となっている「公的資金注入行」とは、あおぞら銀行である。その後、4月24日に新聞各紙が「新生・あおぞら経営統合へ」と報じた。これらの情報源は金融庁である。実は、この時の新生とあおぞらとの経営統合計画は、もう一つの選択だった「政府系金融機関との三行統合案」が、政策投資銀行の民営化延期によって一度はご破算になっていた。この時の計画案で言質をとった金融庁が、新生・あおぞらの経営統合を既成事実化し、半ば強引に公的資金を注入しようとしているという見方が強い。5月7日、新生銀行は業績見通しを大幅に下方修正し、1430億円もの赤字になると発表した。新生の幹部は「金融庁の意向を受けて監査法人から厳しい指摘が相次いだ結果」と言う。

今後は、新生の自己資本比率がどの程度まで目減りするかが注目される。場合によっては経営統合前に公的資金の注入を余儀なくされるかも知れない。現在、新生の大株主であるJCフラワーズ、あおぞらの大株主のサーベラス、そして金融庁の三者が三つ巴で、メディアへの意図的な情報リークなどを含めて、水面下で激しい主導権争いを演じている。