業績低迷の〝元凶〟新生銀行ポルテ社長を解任できないのか?『週刊朝日』Part2

昨年8月、優先株が普通株に転換され、日本政府が新生銀行の筆頭株主となった。この頃から大株主のフラワーズが、頻繁に来日するようになる。

「フラワーズは、政府の支配が強まって、自分の意に沿わない取締役を送り込まれることを恐れたのです。いずれ新生を売却する時にも、筆頭株主でないと不利です。サブプラ危機で株価が下がったので、TOB(株式公開買付)での買い増しを決断した」(新生幹部)

このフラワーズの決断は、投資家として当たり前の行動だろう。しかし、筆頭株主でありながら地位が低下することを指をくわえて見ていた日本政府は、あまりにも無策だった。

「昨年11月にTOBの実施を発表した時、金融庁の検査が新生に入っていたのです。検査官は何も知らされずに激怒したようです。金融庁と交渉をしていた杉山会長と船山範雄執行役の二人も立場を失いましたが、後の祭りです。フラワーズは、大株主である国や金融庁を何とも思ってないのでしょう」(旧長銀OB)

そして、日本人を最大級に愚弄したのが、内幸町の「本店ビル売却」である。

新生は、金融早期健全化法によって、日本国が出資している資本注入銀行である。2年連続で早期健全化計画の3割が未達成になると、経営者は引責辞任しなければならない。税金によって救済された民間銀行である以上、このような厳しい罰則が適用されるのは、当然である。

ところが、本店ビルを売却して黒字化したのだ。その顛末は、以下の通りだ。

「昨年10月末に、不動産投資会社のアセット・マネジャーズの新元秀樹上級執行役から『売らないか』という提案があった。実は新元は、新生の元総務部長なんです。総務部長時代に、数社の不動産会社から本店買収の提案があって、八城さんに相談したのですが、答えは『ノー』だった。今回はポルテの首がかかっていたので、渡りに船だった。ところが、本店買収の情報が事前に漏れてしまった。入札した結果、モルスタに売却することが決まったのです」(IB部門幹部)

これでポルテの首が繋がり、同時に「血税投入」と引き換えに設けられた早期健全化法の精神は、ズタズタに引き裂かれたのだ。

なぜ、大株主の日本政府は、役員の選任を求めるなどの厳しい対応をしないのか。金融庁はこう答える。

「政府保有の株式は、預金保険機構と整理回収機構が持っています。(株主権の行使などは)一義的に預保が決めることです。金融庁には監督権がありますので、ギリギリと言うことは出来ますが、やったことはありません・・・」(監督局信用機構対応室)

一方、預金保険機構の答えはこうだ。

「(株主権の行使は)株主の利益を考慮して業務課が理事長の決済を受ける形になります。手法は別として2期連続の3割ルール抵触でなかったので、捻じ曲げることは難しい。基本的に金融庁と歩調を同じにするしかありません」(金融再生部業務課)

どうも、お互いが決定を委ねているような回答に聞こえる。金融庁の佐藤隆文長官を直撃した。

「個別の銀行についてはコメントしない方針ですので、一般論としてお答えします。そもそも早期健全化法で資本注入したわけで、政府が株式を保有している状態から、速やかに損をせずに回収しなければならない。資本注入は経済行為が目的ではないのです」

-総会での議決権の行使は、どう判断するのか。

「個別の件ですので、コメントできません」


初出:業績低迷の〝元凶〟新生銀行ポルテ社長を解任できないのか?『週刊朝日』2008年7月4日号


業績低迷の〝元凶〟新生銀行ポルテ社長を解任できないのか?『週刊朝日』Part1
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業績低迷の〝元凶〟新生銀行ポルテ社長を解任できないのか?『週刊朝日』Part3