他国に税金の拠出を求めるヘンリー・ポールソン

金融不良資産買い取り、日欧に協調促す 米財務長官(日本経済新聞)

ヘンリー・ポールソン米財務長官は、日本や欧米諸国にも公的資金の支出を求めるようだ。つまり、日本に支店を構える米系投資銀行、欧州系投資銀行、さらに投資ファンドなどが抱える不良債権を、日本国民の税金を使って買い取れということだろうか。少なくとも日本の金融機関は、現時点では国に救済を求めなければならない状態ではない。先週まで、韓国産業銀行のリーマン・ブラザーズ買収には公的資金を出さないと言っていた男が、ここまで変節できたとは、驚きを通り越して笑うしかない。ポールソンが提示した不良債権買取構想では、潰れてもいない金融機関からCDOなどの不動産関連債券を買い取るというもので、いったい、どこの誰がそんな複雑怪奇なデリバティブにプライシングをして、どこの誰の判断で売買が決まるのだろうか。国が金融機関に資本注入して、半ば強制的にRCCに単純明快なローン債権を買い取らせた日本とは事情がまったく異なる。そもそも実現性すら疑問である。

かつて日本の金融機関が抱えた不良債権は、住専の処理や銀行国有化の過程でRCCが買い取ってきた。そして、不良債権処理で莫大な収益をあげたのが米系を中心とした投資銀行、投資ファンドである。これをもって、「外資に富を奪われた」と感情的になるべきではない。日本の金融機関は、不良債権の処理を先延ばしにし、結果として自らの首を絞めた。この時の外資の金儲けは、マーケットの歪みを利用してリスクテイクをした投資で、自己責任の原則に基づくものであり、なんら非難されるべきものではない。そして、日本人は、国民の財産である預貯金を、低金利政策で目減りさせながら銀行経営の基盤を支え、国民の税金によって銀行を救済し、破綻処理をした。日本の銀行の不良債権は、「日本」という枠組みの中で、明らかに日本人の自己責任で血を流しながら処理をした。邦銀が海外に保有する不良資産の処理に、当該国の税金を投入した例など聞いたことはない。



ところが、自己責任だったはずの投資が失敗した途端、「金融システムを守る」という大義名分に基づき、他国にも公然と税金の拠出を求めるというのは、とんだお笑いである。ポールソンは、ゴールドマン・サックスのCEOとして、日本の不良債権処理で莫大な金をポケットに入れた一人である。彼らが「グローバルエコノミー」「グローバルスタンダード」というマヤカシの呪文を唱えながら、「米国流の金融資本主義」を世界各国に押し付け、それが失敗に終わると他国の税金で尻拭いをしろと主張する。

これからは、米国流資本主義を主張する連中、その教義を無批判に垂れ流す連中が、「自己責任」「リスクテイク」などと言ったら、嘲笑の対象になるだろう。バナナを頬張って自家用ジェット機でアメリカから日本や中国を飛び回っていた欲豚が、「恥」という言葉を知っているなら、せめて各国の首脳に頭を下げ、税金の拠出をお願いするべきである。(ポールソンの好物はバナナで、GS時代の自家用ジェットには大量のバナナが装備されていた)