関西老舗暴力団と「末野マネー」を結ぶ〝問題の土地〟『FRIDAY』


「いい加減な言い逃ればかりで腹が立ちますよ。末野社長は、『私は暴力団と関係ない』などと言ってますが、あれも真っ赤な嘘。その動かぬ証拠が、ミナミの『八幡筋モータープール』なんです」(金融機関の末野興産担当社員)

見せガネで「資産隠し」のダミー会社を設立し、公正証書原本不実記載で大阪地検特捜部に逮捕、起訴された末野興産の末野謙一社長(52歳)。「隠し資産ははない」「身を粉にして借金を返済する」・・・・本誌のインタビューや国会答弁で繰り返した末野社長の“嘘”が、次々と明らかに中、本誌は、「暴力団とは一切関係ない」という言葉も、嘘だったという証拠を掴んだ。

大阪市中央区東心斎橋、飲食店が軒を連ねるミナミの繁華街の一角に、「八幡筋モータープール」という駐車場がある。夕方過ぎともなると、車で一杯になるこの駐車場は、つい先日まで末野興産の所有物件だった。

「ここは、88年から90年にかけて末野興産が買収した土地です。今年1月に、関連会社の『南地所』に所有権が移転されたことから、“隠し資産”とも指摘されてますが、それ以上に問題なのは、この駐車場の一部を暴力団組長や組長と関係が深い企業が所有していることなんです」(前出・末野担当者)

約1481平米もの広大な駐車場のうち、約125平米は、「A建設」(大阪市中央区)という土木工事会社が所有、別の292平米は、兵庫県芦屋市に住む「T氏」の個人名義となっている。

「T氏は昨年10月末に他界しているのですが、生前は独立系では大阪最大の指定暴力団で、現在内部抗争中の『酒梅組』の五代目組長だった人物です。同時にT氏はA建設のオーナーでもあり、彼の死後も親族が経営者になっているんです」(地元の建設業関係者)

A建設は、T前組長の土地を担保に、兵庫銀行(現みどり銀行)から10億円(極度額)を借り入れており、両者の密接な関係は現在も続いている。つまり、末野興産は、暴力団組長と、その組長と関係が深い企業が所有する土地で、駐車場を経営していたことになるのだ。さらに駐車場に隣接する日本家屋は、酒梅組の本部事務所でもある。この件について、ある末野興産関係者はこう証言する。

「駐車場は、バブル期には1ヵ月に1000万円単位もの売り上げがあったのですが、このうち約300万円が、A建設を通してT組長の手に渡っていたのです」

間接的にせよ「末野マネー」が暴力団の資金源になっていた可能性すらあるというのである。この“疑惑”について、末野興産に尋ねても、

「いま、お答えできる者がおりません」

と言うばかり。A建設の社長にも再三取材を申し込んだが、残念ながら具体的な回答はもらえなかった。確かにA建設の「工事経歴書」によれば、大阪府や大阪市、建設省からも土木工事を受注しており、大阪府警も「企業舎弟」という見方はしていない。

しかし末野社長は、返済を迫った金融機関に、暴力団関係者の実名を挙げることで返済を免れようとしていたと一部で報道されている。T前組長やA建設との関係を、「借りた金は返さない」末野興産の切り札に使っていたとも考えられるのだ。こうした借り手と、こんな不動産に融資をした金融機関。両者の責任が厳しく問われるべきである。

(初出:『FRIDAY』1996年5月31日号)

追記:

本稿で取り上げた建設会社は、2006年1月に大阪地検特捜部が摘発した大阪市の造園関連公共事業を巡る不正入札事件の舞台となった「大阪府同和建設協会」(同建協)に加盟する企業である。1996年の取材当時、大阪市の建築課などに「明らかに暴力団や同和団体と繋がりがある建設会社に工事を発注するのは問題だ」と問い質した。担当者は言葉を濁していたが、再三取材をすると「匿名」を条件に以下のように語った。

「大阪市内には複雑に利権が絡む土地が多い。市が発注する建設工事には様々な団体、人物が利権漁りにくるのが現実だ。杭打ちや立て看板に、こうした会社の名前を掲げるだけで工事が円滑に進んで、結果的に支出も抑えられる。せいぜい300年程度の歴史しかない東京の人間に奇麗事を言われたくない」

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