住専5社から1800億円 最大の借り手 末野興産社長を直撃『FRIDAY』


「確かに会社全体で3500億円ほど借金はあります。けど、ウチは大阪や東京、九州の一等土地に物件を持っとるまっとうな貸しビル業者であって、谷底や山林を担保に金を借りたようなムチャクチャな業者とは一緒にせんで下さい」

8兆円もの不良債権を抱え、公的資金の導入による一括清算が決定的になった住宅金融専門会社(住専)。写真の人物は、この住専5社から、実に約1800億円以上の最大の融資を引き出した「末野興産」(大阪市西区)の社長、末野謙一氏(52歳)である。

末野氏は、吹田市内の千里ニュータウンに3階建て総床面積約400平米の豪邸を構え、運転手付きのベンツ600に乗り込んで毎日出勤している。その姿からは、とても、グループ全体で約3500億円もの借金を抱えた会社のオーナーとは思えない。

出勤前に直撃すると、末野氏は、意外なほど鷹揚に取材に応じてくれた。

「僕が堂々としてられるのは、人からガタガタ言われるような悪いことは一切してないからです。会社設立前に建てた個人財産の自宅まで、会社の借金の担保に出して頑張っとるぐらいですよ」

末野興産グループは、関西にバブルが訪れる88年頃から急成長を遂げた。住専を筆頭にノンバンクや信金・信組からの融資を背景として、御堂筋沿いやミナミ、北新地などに、次々と貸しビルを建設した。もっともバブル崩壊と同時に、今度は借金返済に追い回される結果に陥ってしまったのは、冒頭の発言の通りだ。

ところが、末野グループの債務返済状況について、大阪市内のある金融業者がこう証言するのだ。

「家賃などの現金収入があるわりには、金利の支払いが充分じゃないという話を耳にします。それに、いまだに会社の幹部は、北新地の高級クラブで派手に遊んどるし、その場に俳優の梅宮辰夫や吉本興業のタレントが一緒の時もあるぐらいやから、まだまだ金回りはいいんとちゃいますやろか。住専が強引に取り立てられんのは、バックに暴力団が控えとるからと言われとるほどです」

もちろん遊ぶのは自由だ。しかし、税金を使って清算する住専最大の融資先がこの状態では、納税者は釈然としないだろう。しかも末野グループは、関西で破綻した金融機関、兵庫銀行系のノンバンクや大阪信用組合からも融資を受けており、中でも木津信用組合からは、業務停止命令の前日に、末野グループや親族名義の預金約380億円が引き出されていたともいわれているのだ。

後日、再び取材に応じた末野氏は、これらの疑問に対してこう語った。

「毎月の返済計画は狂ってますが、代物弁済でもう2500億円ほど借金を減らして、返せるもんは返しとります。住専が最後まで残ってしまったのは、融資を受けた額が100億単位なので物件の買い手がおらんからです。隠してる金なんて一銭もありません。木津信用の預金に関しては、本当はウチの金やないとしか今は言えません」

さらに暴力団との関わりについても、

「一切関係がありません。ヤクザが地上げした土地を買うてウチの看板でビルを建てたことがあるんで、『ヤクザと関係しとる』とか言われるんでしょう」

と全否定するのだ。

住専処理案のタイムリミットは、12月20日に迫っている。しかし、公的資金の導入が決まっても、融資先や金融機関の経営者に対する責任は、全く問われないのだろうか。

(初出:『FRIDAY』1995年12月29日号)

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