笹川錬金術の「密約メモ」発見『週刊朝日』Part1


いま、日本船舶振興会内部には「三つの噂」が飛び交っている。ある振興会関係者が声をひそめてこう話す。

「一つ目は『次は誰が逮捕されるのか』、もう一つが『笹川陽平理事長が退任するかも知れない』という噂。最後が、『あの極秘メモが実在したらしい』というものです」

一つ目の噂については、前事務局長の吉松昌彦容疑者を逮捕した後も、警視庁が百数十人もの捜査員を動員していることを考れば、話題になるのは当然だ。二つ目の「陽平理事長退任説」も、

「どうも、野村證券の田淵節也元会長に頼んで、めぼしい大物財界人を物色してるようです。というのも、このまま笹川ファミリーの影響力が削がれると、振興会が運輸省OBの天下り機関として牛耳られることは目に見えてますからね」(笹川系財団幹部)

という話もあるくらいだから、あながち噂話とは言い切れない。しかし、最後の「極秘メモの存在」とは、いったい何を意味するのだろう。

「このメモを巡っては、ブルネイ王国のプロジェクトと、ホテル海洋の建て替え、それに飛島建設の関連会社や、良一会長の『ウラ処理』を担っているS氏という人物まで介在するのです」(前出・振興会関係者)

どうも重要なメモが実在するらしい。だが、これだけでは何とも意味が分からない。この振興会関係者は、

「メモが公になれば、振興会のトップに近い人間へのカネの出入りが、明るみになるかも知れない。それだけ重要なものだ・・・」

と言ったきり、多くを語ってはくれなかった。いったい、その「メモ」にはどんな重要な事が書かれているのか。この関係者が残してくれたいくつかのキーワードを手掛かりに、メモの行方を追った。

(初出:『週刊朝日』1994年6月17日号)