「佐川清と笹川良一」細川別邸の密談が生んだ〝利益〟『FRIDAY』


豪華な日本間の一室で、何やら盛んに弁舌をふるっている笹川良一日本船舶振興会会長と、やや上目遣いでその表情をうかがう佐川清佐川急便会長。その横には、一見して芸者と分かる女性が侍っている---。

“ドン”という呼び名がふさわしい二人の密接な関係は、これまでも様々に噂されてきたが、プライベートな場で同席する「現場」が公になるのは、もちろんこれが初めてだ。二人の「密談写真」が撮影されたのは、昭和56年春。場所は、細川護熈前首相が佐川急便に貸りて、要人接待などに使っていた京都市左京区にある通称「細川別邸」である。この場にいた振興会関係者が言う。

「佐川会長は、良一会長を『先生』と呼んで気を遣っていました。話は、良一会長の健康の秘訣とか、お互いにここまでよく頑張ったといことから始まった。八木アナウンサーが、口下手な佐川会長を代弁して、良一会長をひたすらヨイショしてたのが印象的でしたね」

芸者さんの左隣にいるのが、元NHKアナウンサーの八木治郎氏(故人)。この会談には、女優の山本富士子さんの夫で、佐川氏が実質的なオーナーともいわれた「東京ビジュアルコミュニケーション山本」の山本丈晴社長(左端)も同席している。

「この会談をキッカケに、TVC山本は佐川急便の援助で、良一会長の記録ビデオの製作を始めるのです。ヤギさんは、ビデオのナレーション担当でした」(前出・振興会関係者)

しかし「細川別邸の密談」の産物は、記録ビデオだけではなかったようだ。

「この後、良一会長は京都に行くたびにお気に入りの『スッポン専門店』で佐川清さんとの会合を重ねてました。佐川さんが欲しがったのは、運輸族議員や運輸官僚への良一会長の人脈だったのです」(佐川急便関係者)

この言葉通りだと、佐川急便は、笹川良一氏に紹介された運輸族議員や運輸官僚を足場にして、急激に業績を伸ばしたことになる。一方、良一氏はこの会談で何を得たのか。

「良一会長が、(昭和五十五年頃から始めた)数千億円もの財宝が眠っていると言われたナヒモフ号の引き上げなどで、数百億円もの負債を抱え込んだ時、佐川急便が援助していたようです」(笹川家に近い人物)

つまり、両者の「持ちつ持たれつ」の関係が、この時の「密談」で出来上がったことになりそうだ。

前事務局長の逮捕で、いま大揺れに揺れている日本船舶振興会と、当時の渡辺広康東京佐川社長(当時)が逮捕されて、政界や暴力団関係者も巻き込んだ一大事件の舞台になった佐川急便。

両者を結び付けるこの一枚の写真が語りかけるのは、「ドス黒い利権構造」だろうか。

(初出:『FRIDAY』1994年7月1日号)