日本銀行総裁空白の元凶は福井俊彦

3月20日から日銀総裁ポストが空席となった。武藤敏郎副総裁(元財務次官)の就任を拒否した民主党の手法や、福田首相の力量不足を非難する声も少なくないが、今日の事態を招いた最大の元凶は福井俊彦と言わざるを得ない。

福井は、五年前にOBを含めた日銀関係者からの支援で奇跡的に総裁に就任したが、三年後に村上ファンドへの投資問題で躓いた。総裁在任中に村上ファンドへの投資を「解約」したことは明らかな「利殖行為」であり、当時、「日本銀行員の心得に反する」として辞任を迫った民主党の主張は正しい。しかし福井は、野党やメディア、世論から集中砲火を浴びるが、政府与党に守られて総裁の地位に留まり続けた。辞任を拒否した福井によって、日銀総裁の椅子は軽薄なものに成り下がり、政治の玩具になることが決定した。二年前に村上ファンド問題で追及の端緒を開いたのは民主党である。参議院で多数派となった以上、政権を揺さぶる材料に使うのは、むしろ当たり前の政治手法だろう。

福井が、日銀の接待汚職で副総裁を辞任し、総裁として戻ってからも村上ファンド問題に翻弄されたのは「非運」ではなく、危機に対処する能力が致命的に欠如していたからだ。福井の友人、知人たちは異口同音に「頭が良い好人物」と語っていた。しかし、経済状態が右肩上がりの時代に通用した「良い人」は、危機の時代には無用になる。日銀同様の危機に瀕した大蔵省を改革した武藤の就任を拒否した民主党や、政治力を欠いた福田首相の責任も重い。しかし、二年前に福井が辞任を決断していれば、総裁空白という「日銀史上最悪の日」は避けられたはずだ。日銀の看板、日銀総裁の椅子、日本経済への信用、すべてに泥を塗った男が、福井俊彦である。