朝鮮総連本部ビル仮装売買を仲介した三正・満井忠男


ずいぶん懐かしい名前の再登場である。産経新聞によると、「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地・建物の所有権が、代金支払いがないまま元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)弁護士(73)が代表取締役を務める投資顧問会社に移転登記された事件で、旧住宅金融専門会社(住専)の大口融資先だった東京の不動産会社元社長(73)が、朝鮮総連側と購入先の投資顧問会社を仲介した上で、売買に関与していた」ということだ。「朝鮮総連仮装売買疑惑 不動産元社長が仲介

この不動産元社長とは、三正の満井忠男のことである。

満井には住専事件の際に二度ほど取材したことがある。当時、住専の経営破綻の元凶として不動産会社が槍玉に挙がっていた。末野興産や桃源社などの大口融資先をターゲットに多くの記事を執筆したが、なかなか政治家や大蔵省には追及の矛先が向かわなかった。(住専〝救済〟の本質は、自民党の票田である農協や農林系統金融機関の救済に他ならない。不動産業者と銀行ばかりが悪役扱いされたのは大蔵省の巧妙な誘導とメディア側の不勉強が原因)満井は「日本経済再建協議会」という組織を作り、政治家や官僚の責任を追及すると強弁していた。満井が経営する神田の三正本社に、写真週刊誌『フライデー』のカメラマンを連れて取材に行ったのは、1996年1月である。

三正神田錦町ビルには、社員が立ち働く姿は見えなかった。什器類がほとんどないガランとした部屋でインタビューをした。「不動産融資の総量規制によって真面目に経営しても儲からなくなった」こう言う満井の主張はもっともである。しかし、国会議員や官僚23人を名指しし、「平成大不況国民裁判A級戦犯」として「絞首刑」「終身禁固」にせよと荒唐無稽な責任転嫁をしていたため、結局、記事にしなかった。しかし、後に同協会から「国民が信頼できる国家再生をめざす大集会」なる案内がファックスが送られ、設立発起人となった人物の顔ぶれを見ると、なかなか振るっていた。佐藤立夫(弁護士)、秋山昭八(弁護士)、中丸薫(国際政治評論家)といった面々である。(この集会には行っていないので、彼らが参加したかは不明)それから二年後、満井は強制執行妨害で逮捕された。

そもそも満井は、北九州の「白島国家石油備蓄基地」の政界工作で事件記者には名前が知られていた。白島備蓄基地は、石油公団(現在の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)のプロジェクトで、北九州市若松区白島海域に500万キロリットルもの石油を備蓄する施設である。誘致が決まったのは1981年だが、完成したのは1996年と15年もの歳月を費やしてしまった。このプロジェクトは、地元漁民への補償問題や地上げ(海上げ?)問題などで紛争が続き、日立造船、間組、新日鉄などの施行業者が巨額の「対策費」をばら撒いたと言われている。また、分け前を巡って同和団体幹部と山口組系暴力団との間で暴行事件が発生したり、知事や国会議員への数億円におよぶ政界工作資金のメモまで出回った。この際、政界工作を担当したのが満井だったという。

しかし、こうした背景がある人物とはいえ、朝鮮総連に食い込み、元公安調査庁長官や日弁連会長までも巻き込んだ不動産取引を演出するとは驚くべき仕事師である。緒方元公安調査庁長官の仮装売買事件は、意外な広がりを見せるかもしれない。